上り棒

登ってはいけないことになっている、バスケットゴールの裏側によじ登って喜んでいた、わんぱく坊主のA君。

注意したが止められない。それならと、登り棒に誘ってみた。

ところが、必死に登るも、上手とは言えず中々進まない。

それでも登り棒を必死につかみ、

「できないんだよぉ〜〜」

とヘタレながら、登ることを止めなかった。

そうか。バスケットゴールの裏側なら低くて登りやすいし、すぐ降りられたよね。

「がんばれ!がんばれ!!」

と応援していると、もがきながらも、5cm、10cm、15cmと、少しずつ少しずつ上へ上へと移動していく。

A君のお尻や足の裏を押し上げながら、

「あと10cm!」「あと5cm!!」「がんばれ!がんばれ!!」

と勢いをつける。

そしてついにA君は、4mほどの登り棒を上まで登り切った。

「すごーい! 上まで登れたじゃん!!」

登っていた時の何倍もの速さで上からスルスルと降りてきたA君は、登りきれた嬉しさと、頑張った満足感で、精悍な表情だった。

かっこよかった。

そのまま何事もなかったように、サッカーの集団に入って行ったA君が、

とってもとっても愛おしかった。