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小学校新1年生の一斉下校。

それぞれのコースに帰宅する児童、放課後支援に行く児童、家からお迎えに来ている児童、
それぞれが長い列を作って待っている。

そんな中、どこの列にも並ばず、少し離れた金網に向かって、うつむいているS君。

小さな体に大きなランドセルと手提げ袋が2つ。

どうやら、みんなと一緒に列に並びたくないらしい。
お腹が空いていないのでお弁当も食べたくないとのこと。

それぞれのコース引率の先生も、放課後支援の先生も、1年生の先生も、
みんな手一杯で誰も対応できない。

「ゆきえ先生! お願いしますっ!!」
私がS君を引き受けることになった。

1週間前までは、保育園バッグをたすき掛けにして、無邪気に遊んでいたであろうS君。

4月1日からいきなり規則がたくさん増えた生活になり、さぞ、窮屈だろうな。

うつむきながらつま先で金網をトントンしているS君の横にしゃがみ込み、
お弁当の話題から話しかけてみた。

「お弁当のおかずは何が入っているかなぁ~」

最初は何を聞いても不機嫌そうに「うん」としか返事をしてくれなかったS君が、
話しかけているうちに段々と身体の向きを私の方に向けてくれるようになり、
白い歯が見え始めた。

「お弁当はお母さんが作ってくれたオムライス」
「ゲームを買ってくれたら、お弁当を食べてもいい」
と言ってくれるようになった。
(ただし、ゲームは〝電車とバスと車に乗って行くコンビニに売っていて、1000円が60個いる〟
とのことだった。なんて可愛いいんでしょう!♡)

他の1年生は、それぞれ帰宅したり、放課後支援教室に入ったため、
下駄箱で私とS君の2人でお話をしていた。

ある程度話すとS君は、ポツンと2人だけになっていることに違和感を感じたのか、
放課後支援教室に向かって自分から歩き出した。

歩きながらおもちゃの話題で盛り上がり、放課後支援教室に着くころには、
お弁当を食べる気になってくれたようだ。

一仕事終えて、様子を見に行くと、S君はちゃんと席に着いてお弁当を食べていた。

戦隊もののお弁当箱の中には、卵焼きにくるまれたケチャップライスが入っていた。

S君の心が少し、開いたことが嬉しかった。