親子3

大型スーパーの広い駐輪場。
若いママと、4歳、1歳くらいの子どもが目に入りました。

3人ともしゃがみ込んでいたのですが、ママは自分で自分の両耳を押さえながら、
後ろで1つに束ねた髪を振り乱して、大声で叫んでいます。

「もう、やだーーっ!! どうしたらいいの!? 何なの!? 私、どうしたらいいの?
もう、わかんないよーっ!!」

ママと目が合いました。
パニックになりながらも私と目が合ったことで、気まずそうに半泣き状態で苦笑しています。
近づきながら声をかけました。

私「大丈夫ですか? どうされました?」
ママ「子どもがアイスをどんどん食べちゃうんです!! お腹すいてるみたいで!!!
もう、どうしたらいいんだかっ!! さっき、1つ食べたばっかりなんですっ!!」

え? たったそれだけのことで、こんなにパニックになるの?
だって、アイスを買い与えたのは、ママ、あたなじゃないの?
子どもがお腹を空かせているって、ご飯は食べさせたの?
こんな半狂乱な状態で叫んでいて、周りの目は気にならないの?

不思議に思うことが次から次へと浮かんできました。

見ると、4歳の子が2つのアイスを独り占めしていて、1歳の子が自分も欲しいと泣き叫び、
喧嘩になっています。さらに1歳の子はチック症状で、白目をむいています。

とりあえず4歳の子をなだめ、言い聞かせました。
「じゃあ、手にアイスを持っててもいいから、少しだけ(下の子に)食べさせてあげるっていうのはどうかなあ?」
私の提案に、渋々了解してくれて、事は収まりました。
私「あ、さすが。優しいね」
4歳の子の頭をなでながらほめ、次はパニックになったママです。
「大変ですね。今が一番大変な時期ですよねぇ」
と話しかけたところ、

「もう、どうしていいのかわかりません」
(うん、うん、多くのママが悩むよねぇ)
「(子どもが)やってほしくないことばっかりやるし、行ってほしくない方ばっかり行くんです」
(そう、そう、そう。でも、それが子どもなのよねぇ)

「子どもにはお友達が必要ですよね? 私も友達欲しいです。でも作り方がわからないんです。
上手くお付き合いできないんです。付き合い方がわからないんです」
「お金が無いんです……、今、銀行からおろしてきたばっかりだけど……」
「家の事情が大変で……」
「もう、疲れました……」

出てくる出てくる、ママの口から子育ての苦悩が。そして、何だかワケありです。
2人のお子さんは、普段は保育園に行っているとのことでしたが、ママは子育てにいっぱいいっぱいで疲れ切っており、体力的・精神的に余裕はないようです。
しかも、家庭内に何やらご事情がおありのご様子。

私の子育て体験談と、持っている育児知識をお伝えして話しているうちに、
段々とママのパニックはおさまってきました。

親子2

小さい子ども2人と、疲れ切ってパニックになっているママを見て話していたら、
自分が子育てをしていた頃のことを思い出してきました。
私も、このママに近い状態でした。
誰かに助けてほしかったのですが、それが許されない状況だったので、とっても苦しかったのです。
でも当時は無我夢中で、助けを求める余裕も、苦しいという自覚もなく、
〝ああ、私、辛かったんだなぁ……〟
と感じることができたのは、ずいぶん後になって、子どもたちが大きくなってからでした。

だからこそ、女性と子どもの味方になりたくて、心理カウンセラーになったというのが、
最初の動機でした。

親子1

アイスを食べて落ち着いた子どもたちが、他の子どもが飛ばしているシャボン玉を追いかけて遊んでいる間、ママと30分程話すと落ち着いたのか、やっとママに少し笑顔が見られました。

私の子育て談、知識が、このママにどこまで伝わったのかはわかりません。
けれども、たった30分程度でもお話をしたことで、ママのパニックがおさまったこと、
正解ではないかもしれないけれど、子育てのほんの少しでもお伝えできたことは、
よかったと思っています。