T

毎日毎日〝足が痛い〟と絶えず訴えてくるT君。
ずーっとびっこをひいていて、時には床に寝っころがって痛がる。

けれど、学校まではちゃんと自分の足で歩いて通ってきているし、
友達とのゲームでは、それはそれは楽しそうに大笑いしている。

あまりに毎日しょっちゅう〝足が痛い〟と訴えるので、職員の中には無視したり、
邪険に扱ったり、仮病を疑ったり、叱ったりする者もいる。

時々、保護者にお迎えに来てもらうこともある。

 

T君が本当に痛いのは、足じゃなくて心なんだよね。
〝足が痛い〟という訴えは、心が痛いというSOS発信なんだよね。

 

水道場で手を洗っていたら、心の痛みを分ってもらえず、
叱られてしょんぼりしているT君が、こっそりやってきてつぶやいた。

「少し痛いのなくなったかも……」
「よかったね。お母さんのお迎え自転車だといいね。後ろに乗せてもらえたら歩かなくていいから、痛い思いしなくてすむもんね」
「うん……」

 

私にはT君の心の痛みを訴える気持ちが伝わってくる。
私の腕に両腕を絡ませて甘えてきたり、ゲームに誘ってきたりする。
だから、痛い足を冷却したり、さすったりの処置をする。
たとえそれが痛い患部に関係なかったとしても、
私はT君の〝痛い〟をありのままに受け止めて、痛い心に寄り添いたい。